「キミの一番になりたい」
「キミの一番になりたいな」
たまにアイドルちゃんが言う「一推し」にして欲しいというお願いだ。かわいらしいものである。
「でも、ボクはキミの一番になれないんだよね」
しかし、大人げない自分はそれにこんなケチをつけたくなってしまう。
いや、大人げないからだけではない。
自分の「一番」になった子がいて、ほぼその子だけにリソースをかけて、それでも自分は「その子の一番」にはなれないことや、その子の望まない変化に耐えられずに、「一番」である気持ちは保留したまま、見聞を広めた結果、気づくと「一番」だと思っていたい自分だけが残ってしまった今の僕からすると、その言葉は気持ちをザワつかせるからだ。そんな理由で、これを言われた側はたまったものではないだろう。ごめんなさい。
アイドル側からすると、「一番」に選ばれる存在になりたいのは当たり前だろう。むしろオタク側の方に色々な受け止め方がある話ともいえる。大体、世の中のオタクは優しいから、僕みたいなことは言わない。
僕としても「じゃあ、キミが一番だよ」なんて言葉を望んでるわけでもない。「や、だってそれはウソでしょ」となってしまう(本当にめんどくさいやつだ)。
むしろこうしたアイドルとオタクの非対称性について、その子がどう思ってるのか知りたいのかもしれない。結局、それがオタクのことをどう思っているのかという証になる気もするし。
だから、こんな風に丁寧に言ってくれる子には真摯に向き合いたいし、さすがのスレた僕でも信じてみたいとは思うのだ。
「キミの中の何かで一番になりたいな。そして、ワタシの中の何かでもキミが一番になれるといいな」