君は誰を見ているの?
最近よく行ってるアイドルちゃんたちからレスの話をよくされる。曰く「(あなたに)レスしてたらフリを間違えた」「気づかれないだろうなぁって感じで観てたでしょ?」「後ろの方で関係者みたいに見てたね」
みんなよく見てるなぁと思いつつも、自分もそのグループでは大体その子を見てるはずなのにレスされてる実感がなかったりする。それはその子達がウソを言ってるわけでなく、あくまでも僕の実感の問題だ。レス感知力が弱い。
さて、根本的なお話として、なんでレスをもらえるとうれしいんだろうか。人によって理由は違うと思うけど、その1つで大きいのは「自分という個人を見てもらえてる実感が得られる」ことではないかと思う。そう、こないだの認知の話につながるところだ。少なくとも僕の中ではそこはつながっている。
もちろんシンプルな快楽として、「かわいい子に見られてる」というのはあるのだろうけど……と思ったけど見られる喜びってなんだろう? もっと本能的な快楽なんだろうか。やっぱりそこには何らかの理由があるんじゃないのかな。色んな人に聞いてみたい。
視点を変えてアイドル側から考えた時のレスについて、よくよく考えると歌って踊って移動しながら客席やフロアを見て、誰かを特定するなんてよく出来るよね。アイドルちゃんの空間把握能力すごい。
レスの仕方も人によってそれぞれで、近距離に強烈な攻撃をする子がいれば、広範囲にふんわりしてる子もいるし、遠距離にピンポイントの爆撃をする子、自分の推しサイや団扇しか見ない子、本当に色々だ。見ていると面白い。
こないだ聞いた最前の特定のピンチケにしかレスしない子、みたいな特殊ケースを除けば、最初から意図的に誰かにしようと思ってるわけではなくて、その時のお客さん側の状況に合わせて、対応してるだけなんだろうとは思う(そう思いたい)。なので、自分がレスをされないのもたまたまなのだ(そう思いたい)。
というところで透けて見えてくる自分の実感のもてなさの理由がある。それは自分への自信のなさと傷つかないための予防線だ。
「どうせこんなモブおじさんは見ないだろう」
「こっちがずっと見てるのに見てくれないのは悲しいけど、別にたまたまだろうし、まぁそういうものだよね」
「つまりはじめから来ないと思ってる方が精神衛生的によい」
というのが実感のなさの原因だ。
歴戦の勇者達からはレスは勝ち取るものだろうという言葉が聞こえそうな弱音だけど、奇矯な行動を取ってまで見てほしいわけではないのは、「そんな自分は自分でない」ので、それで見てもらう意味はないと思うからなのだろう。あとシンプルにはずかしい。僕にできるのはサイリウムを振ることと団扇を振るくらい。アイドル側からすると「レスのしがいがない」って感じって話だ。ごめんね。
そんなわけなのでこれからもアイドルちゃん達のやさしさに甘えて、フロアの片隅からその子を見続けるのだ。心のどこかで「君は誰を見ているの?」と思いながら。